こんにちは、トライマーケット編集部の樋口です。

 

皆さんは「ラジオ」と聞いてどのようなイメージをお持ちでしょうか? テレビやインターネットに比べて地味? 未来がない媒体…? いろいろと噂はありますが、実際、現在のラジオ市場はどうなっているのでしょうか?

 

ということで今回は、当社メディア部 ラジオグループ 担当部長の今泉亜矢を訪ね、最近のリアルなラジオ市場環境、その媒体特性について聞いてきました。

 

 

メディア激動の時代に、30年「安定の横ばい」を続けるラジオ

 

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Q.近年のラジオ業界全体の動向は?

日本の総広告費におけるラジオの割合は全体の2%ほどで、広告費はここ30年ほとんど変わっていません。ラジオの媒体費はテレビと比べればはるかに安いので、ダイレクトレスポンス市場の中ではそれほどシェアが高い方ではないですね。

 

ただし、テレビ通販が伸びた時代も、最近のようにインターネット通販が伸びてテレビ通販へ影響が表れてきている時代も、ラジオはあくまでも安定の横ばいをしているという。言ってみれば安定志向の強い媒体ですね。

 

Q.安定の背景はどのようなところに…?

パーセンテージにおいてそれほど打撃をうけるようなシェアを持っていないこともありますが、その分、堅実に賢く積み重ねてきたメディアのひとつだと考えています。

 

また、「リスナーと一緒に成長してきたメディア」という点もあります。AM放送に比べて新しいFM放送でも、今では20〜30週年を迎える局が多いので、当時20歳で聞いていた方が40代、50代になっていることを考えると、AM、FMともに圧倒的にリスナー層は40代以上です。このあたりは他のメディアと違う特徴だと思います。

 

 

双方向が特徴のラジオは“浮気をしない”媒体

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Q.ラジオの媒体特性は?

まずは主なリスナーが40代以上ということ。また、首都圏の「1日あたりの平均視聴局数」を見ると、テレビは1日あたり3.5局なのに対し、ラジオは1.4局なんですね。つまり、ラジオを聞いていらっしゃる方は浮気をしないというか、同じ局を繰り返し、ファンのように聞いていらっしゃるということがわかります。パーソナリティさんのファン、番組の内容のファンが固定でついていらっしゃるんですね。

 

また、テレビで言うゴールデンタイムは夜の19〜23時ですが、ラジオのゴールデンタイムは午前9時頃から夕方17時頃までの昼帯です。この昼帯におけるラジオの聴取率と、テレビの視聴率を比べると、単純比較はできないにしても、ラジオの方が高いところが多いんですね。

 

なので、日本人はうまくすみ分けているかなと思います。テレビは家に帰って夜に見るのに対し、ラジオは日中に仕事をしながら、運転しながら、家事をしながら、“ながら”で聞いている「ながら媒体」という特徴があります。

 

あとは、メールやFAX、電話という双方向メディアの要素も、ラジオの特徴のひとつ。パーソナリティさんが「先ほど届いたメールなんですけど」とリアルタイムですぐに対応してくれるので、リスナーとの距離が近く、クチコミ効果も非常に大きい媒体だと思います。

 

 

スマホやタブレットの活用で、ラジオへの接触回数は増えつつある…?

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Q.ラジオは安定の媒体というお話がありましたが、その中でもインターネットの台頭によって生じた変化などはありますか?

20年前はカーラジオやラジカセが主流だったと思いますが、最近の10代〜20代はラジカセを知らない世代になりつつあります。一方で現在は「radiko.jp」「LISMO WAVE」「TuneIn Radio」などスマートフォンに入っているアプリで聞く人が増えています。そういう意味では少しずつ、ラジカセからスマートフォンやタブレット、パソコンなどに移る時代になってきているかなと感じます。

 

Q.聞くデバイスが変わることで生じる変化はありますか?

若い世代はもちろん、40代以上であっても日常的にスマートフォンを触っている世代が多いので、聞く機会が増えるというのはありますね。ラジカセのように、専用の機械を用意して家の中でちゃんとスイッチを入れて聞くというのではなく、もっと身近に、BGMとして音楽を聞くのと同じ感覚で、生活の一部として自然と入ってきやすくなったかなと思います。

 

また、スマートフォンやタブレットに限らず、パソコンで作業しながら、裏で「radiko.jp」などを流しておいて、BGMのように使っている方は多いかと思います。例えばテレビと比較すると、「作業しながら一緒にテレビ」では「画面」と「画面」で両立しづらいですが、ラジオだと同じパソコンの裏で「音や声」を流しながら「画面」に集中して作業できる。そういう意味では、接触回数は増えたと思いますね。

 

Q.見方によってはテレビにはできないことができる、という面もあるのですね。

そうですね。例えば震災のときにもやはりラジオがすごく活躍した、という背景があります。「電気の通らないところで、テレビが見られなくてもラジオだけは聞けた」、「ラジオからのリアルタイムな情報が嬉しかった、非常に役立った」と。そういう特性のあるメディアとしては、今後も重宝されるのではないでしょうか。

 

ラジオというと昔のメディアというイメージがあるかもしれませんが、今、ラジオというメディアも新しく、変化しつつあります。AM放送がFM波で聞けるようになり、また地デジ化で空きができた周波数帯を使った「V-LOWマルチメディア放送」というデジタル放送も近い将来始まります。将来は「聞く」ラジオだけではなくて、情報を映像や文字でも送れるメディアになる可能性もあるのでは…と考えています。

 

以上、今回は現代のラジオ市場環境について、当社メディア部 ラジオグループ 担当部長の今泉に話を聞きました。

 

このような市場環境の中で、特に40代以上の世代をターゲットにした「ラジオ通販」市場は、ここ数年で着実に伸びているとか。そのあたりの詳細はまた別の記事でご紹介したいと思います。どうぞお楽しみに。

 

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