こんにちは。トライマーケット編集部の奈良岡です。

 

今、地方放送局では、地域に根ざした情報力を武器として、海外で放送される日本のローカル情報番組を制作する動きがはじまっています。海外でのテレビ通販番組の制作支援を手がける当社も、こうした動きにおいて地方局とのコラボレーションの機会をいただくようになりました。

 

今回は、海外向けのローカル情報番組を積極的に展開されている、広島の地方局「テレビ新広島」の営業本部、亀井琢也氏と、森星嘉氏に、地方局が海外へ進出する背景や今後の展望について、お話を伺いました。

 

地方局ならではの新しいコンテンツとは?

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Q.地方局である、テレビ新広島さんが海外向けの情報番組を制作するに至るにはどのような経緯があったのですか?

 

長年、地方の放送局は、地元の情報を地元に向けて発信し、そこにスポンサーについていただくというモデルで経営してまいりました。しかし、このままでは地方にテレビ局がある意味が薄れてしまう、収益構造の多様化を図っていかなければいけないという危機感があったのです。

 

そこで、新たな価値を生み出そうと模索する中、「地方だからこそ集まる情報」を強みとして、海外からの旅行客向けに日本のローカル観光情報を動画で配信することをはじめました。他にはない情報を動画で配信することで、日本の観光情報のポータルサイトになることを目指したのです。

 

さらに、海外での知名度を上げるべく、このコンテンツを海外の放送局に持ち込み、放送していただける先を探しました。厳しい反応ももちろんありましたが、地道に探すうちに、フランスでしっかりと番組を評価してくださる放送局とのご縁をいただけたのです。そこで、フランスの放送局で、日本の情報に特化した30分番組をレギュラーで放送していただけることになりました。

 

求められるのは「日本人がよいと思うニッチな日本情報」

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Q.海外で放送している番組はどのような内容なのですか?

 

日常集まってくる地元の情報をもとに、日本人が見ても面白いと思える情報を、日本人が紹介していくバラエティ番組です。日本の旅行ガイドブックや、インターネットの情報には掲載されていないような、現場のニッチな情報をご紹介しています。

 

海外には、日本の情報は溢れているので、誰もが知っている情報を得ても喜びは大きくありません。「これは面白い!」と思っていただくには、番組をみた人本人が「自分で見つけ出したような感覚」を持ってもらうことが大切です。

 
Q.「海外の放送局が制作する日本番組」と、「日本が制作する番組」の違いはありますか?

 

海外の方が日本を紹介するのは、「事前に収集できる情報を基に番組をつくっている」ことが前提です。それに対して、私たちは「毎日飲み食いしている現場から、他にはない情報をリアルに」ご紹介できるという優位性があります。

 

つい相手国の喜ぶものをつくろうとしがちですが、フランスの放送局からは「こういう内容がフランスの方は好きですよね」という意図を持ってつくらないで欲しいと言われます。

 

面白いかどうかは彼らが自分で決めるから、日本人の私たちが「これが好きなんです」というものを紹介して欲しいと。迎合ではなく、あえて合わせない姿勢でつくるものの方が、情報としての価値がある、というのです。

 

Q. 海外向けの番組制作のために苦労することはありますか?

 

海外とのタイムラグが発生したり、当たり前と思っていることが違うために多くの説明を必要としたりなど、いろいろありますね。また、”日本”の情報番組なので、広島のみならず、日本全国からニッチな情報を集め続ける必要があります。それを実現するため、地方各局を巻き込み、協力して情報を収集し、番組を制作し続けていくことは大変ですね。

 

海外ネットワークに向けた地域商材の展開

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Q.そうした苦労をしながらも、推進していらっしゃる背景にはどのような想いがあるのでしょうか?

 

地域の経済活性化という国家戦略に貢献できているという実感です。番組で地域やお店を取り上げることで、インバウンドを増やすことにつながります。他では知られることがない郊外のお店から、番組で取り上げたことがきっかけで「フランスからお客さんが来ました!」という喜びのお電話が入ったりすると、またよい情報番組を作ろうという気持ちになります。

 

また、地域の企業様の商品をご紹介することで、海外での知名度を上げることもお手伝いできますし、海外展開の支援もできます。さらにはテレビ通販を実施すれば、直接の販売ルートを持つこともできるようになります。それによって、さらに地域の経済を活性化させることにつなげていきたいという想いがあります。

 

とはいえ、簡単に理想通りにはなりません。当然ながら、これまで通りの国内番組の広告収入を基盤とした事業は土台として継続しつつ、海外向けの番組のタイアップ企業を増やしたり、コンテンツを利用した収益構造をつくるなど、工夫をしていく必要があります。

 

しかし、テレビを通じて地方の魅力や商材や店舗情報が、世界に広がっていくことにより、地方企業の経済成長に寄与することができると信じています。そしてそのことを通じて、改めて地方局の存在する意味をつくり出せるよう邁進していきたいと思っています。

 

 

以上、広島の地方局「テレビ新広島」の亀井琢也氏と、森星嘉氏に、お話を伺いました。こうして、なかなか知られることのない、隠れた日本の魅力が海外に伝わっていけば、地方企業の成長の促進も期待されますね。そこから広がるさまざまな可能性がとても楽しみです。

 

 

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